電気設備の知識と技術 > 電気の雑学 > LED電球を人感センサー付きとしたら省エネとなるか
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トイレやクローゼットなど、照明の消し忘れが発生することが予想される部屋には、人感センサーを用いたダウンライトを取り付けることで、消し忘れ防止を図ることができます。
白熱電球を使っていた時代であれば、ランプの消費電力が大きいため、ランプをしっかり消灯することで大きな節電効果を得ることができました。ですが、最近ではLED照明が主流となっているため、電球が必要とする消費電力は非常に小さくなっています。ここでは、LEDを用いた電球に人感センサーを取り付けることが、本当に省エネルギーに貢献しているのかを検討してみたいと思います。
計算の前提条件は、LED・蛍光灯・白熱電球の3パターンとしましょう。
なお、ランプの点灯時間の条件は下記とします。
では、計算してみましょう。
日常使用 7[W] × 25[時間] = 175[Wh] → 0.175kWh/月
消し忘れ 7[W] × 20[時間] = 140[Wh] → 0.140kWh/月
(0.175[kWh] + 0.140[kWh]) × 36[円/kWh] = 11.34[円/月]
うち、消し忘れによる節約効果 0.140[kWh] × 36[円/kWh] = 5.04[円/月]
日常使用 11[W] × 25[時間] = 275[Wh] → 0.275kWh/月
消し忘れ 11[W] × 20[時間] = 220[Wh] → 0.220kWh/月
(0.275[kWh] + 0.220[kWh]) × 36[円/kWh] = 17.82[円/月]
うち、消し忘れによる節約効果 0.220[kWh] × 36[円/kWh] = 7.92[円/月]
日常使用 60[W] × 25[時間] = 1,500[Wh] → 1.5kWh/月
消し忘れ 60[W] × 20[時間] = 1,200[Wh] → 1.2kWh/月
(1.5[kWh] + 1.2[kWh]) × 36[円/kWh] = 97.2[円/月]
うち、消し忘れによる節約効果 1.2[kWh] × 36[円/kWh] = 43.2[円/月]
計算結果が示すように、白熱電球は非常に電気代が高くなりますが、蛍光灯やLEDは消費電力が非常に小さく、月々の電気代はとても安くなります。しかし、消し忘れを防止したことによる省エネ効果は微々たるものとなりました。
白熱電球のように、消費電力が大きなランプの場合、2年もすれば約900円に到達しますので、センサーによる消灯が効果的であることがわかります。センサーのついていないLED電球は、近年では980円程度で購入できるようになっています。特売などで購入すれば、500円程度で購入できることもあります。
センサーが付いたLED電球は、おおよそ2倍程度の価格帯で販売されていますので、1,500~1,800円程度の金額が見込まれます。計算ではわかりやすく、「センサー付きとした場合、800円の割り増し」とします。1月あたり5円の効果があると考え、センサー付の器具を使用した場合に生まれる差益で回収する場合、
となります。年に換算すると13.3[年]になります。センサー付きの電球を13年も交換しないというのは現実的ではないので、センサー付き電球にしたことによる「電気代として」の効果はないものと考えられます。
このことから、センサー付き電球を用いることの利点を考える場合、電気代の節約ではなく、スイッチを触ることなく照明をつけることができるという利便性を目的とすれば良いでしょう。なお、LED電球の寿命は40,000[時間]ですが、トイレやクローゼットは月に25時間程度しか使わず、消し忘れを考慮しても45時間程度の使用時間しか見込まれません。
トイレやクローゼットに使っているLED電球が、点灯時間から寿命に至る期間を計算してみましょう。
単純計算すると、888月(74年)という計算になってしまいました。74年間もの期間、LED電球の寿命に至らないことになってしまいます。実際には、10年を経過した電球は材料や素子に劣化を発生しているおそれがあり、交換することが推奨されています。
10年で交換するとなれば、LEDに人感センサー付としたことによって得られた節電効果は微々たるものであり、電気代で人感センサーょ取り付けることによるコストを回収することができないことになります。
執筆者:M.Kenichi
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